日俳連労災とは
日俳連労災(にっぱいれんろうさい)とは、協同組合日本俳優連合(日俳連)が設立した芸能従事者のための労災保険特別加入団体です。協同組合日本俳優連合についてはこちらをご覧ください。
すべての芸能従事者が労災保険に特別加入できるようになりました
労災保険とは、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷・疾病・障害又は死亡に対して労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度です。
しかし、芸能従事者は個人事業主であるから労働者とは言えない。だから労災の対象にはならないと言われてきました。
労災保険には加入できないけれど、労働者に極めて近い働き方をする人々を対象に特別加入という制度が設けられています。日俳連は俳優を含むすべての芸能従事者を特別加入の対象にする活動を続けてきました。
令和3年1月26日に省令が改正され、同年4月1日から芸能従事者も特別加入の対象となりました。
日俳連では、すべての芸能従事者が安価に労災保険の適用が受けられるよう、「日俳連労災」をスタートしました。
対象となる業種
芸能実演家
- 俳優(舞台俳優、映画及びテレビ等映像メディア俳優、声優等)
- 舞踊家(日本舞踊、ダンサー、バレリーナ等)
- 音楽家(歌手、謡い手、演奏家、作詞家、作曲家等)
- 演芸家(落語家、漫才師、奇術師、司会、DJ、大道芸人等)
- スタント 他
芸能製作作業従事者
- 監督(舞台演出監督、映像演出監督)
- 撮影
- 照明
- 音響・効果、録音
- 大道具製作(建設の事業を除く)
- 美術装飾
- 衣装
- メイク
- 結髪
- スクリプター
- ラインプロデュース
- アシスタント、マネージメント 他
芸能従事者の事故事例
過去、実際に起きた芸能従事者の事故事例です。
- 照明スタッフがセリから転落し死亡
- 女優がドラマのリハーサル中に転倒し大腿部転子部骨折
- ダンサー同士がリハーサル中にぶつかり脳震盪
- 歌手が劇場で公演中に転倒
- 落語家が寄席会場への出勤中に転倒して顔面を強打し12針縫う怪我
- 大道芸人が屋外の大道芸実演中に梯子の上5メートルから転落し前歯を折る
- カースタントマンが交通安全イベントで、中学校の校庭で交通事故の実演中にトラックに轢かれ胸部圧迫、死亡
- 照明スタッフがホールで天井裏の足場から天井板を突き破り高さ15 メートルから客席へ落下し頸椎骨折
- 美術スタッフ数名が屋外ロケでの撮影準備中、戦闘シーン用に積み上げた丸太が崩落し下敷きになった
- スタッフが劇場でワイヤーに吊るされて舞台機器の点検作業中、約10 メートル下の舞台に転落し死亡
給付概要
労災保険給付では、ケガ等の治療費や、ケガ等で休業する際の休業期間の給付、治療後に障害が残った場合の給付、お亡くなりになった場合の遺族への給付等が支給されます。
①療養補償給付/療養給付
支給事由 | 業務災害または通勤災害による傷病について、病院等で治療する場合 |
給付内容 | 労災指定病院等で必要な治療が無料で受けられる (原則、給付の範囲は健康保険に準拠) *指定病院以外は、要した費用が支給される。 |
特別支給金 | なし |
具体例 | 給付基礎日額とは関係なく、必要な治療が無料で受けられる |
②休業補償給付/休業給付
支給事由 | 傷病の療養のため労働することができない日が4日以上となった場合 |
給付内容 | 休業4日目以降、1日につき基礎日額の60%相当額 |
特別支給金 | 休業4日目以降、1日につき基礎日額の20%相当額 |
具体例 (日額1万円の場合) | (例)20日間休業した場合(給付+特別支給) 1万円×60%×17日+1万円×20%×17日=13万6千円 |
③障害補償給付/障害給付
支給事由 | 【障害(補償)年金】 傷病が治った後、障害等級 第1級 ~ 第7級に該当する障害が残った場合 【障害(補償)一時金】 傷病が治った後、障害等級 第8級 ~ 第14級に該当する障害が残った場合 |
給付内容 | 【障害(補償)年金】 第1級 (給付基礎日額の313日分) ~ 第7級(131日分) 【障害(補償)一時金】 第8級 (給付基礎日額の503日分) ~ 第14級(56日分) |
特別支給金 | 【障害特別支給金】*一時金として 第1級 342万円 ~ 第14級 8万円 |
具体例 (日額1万円の場合) | (例)障害等級 第1級の場合(給付+特別支給) 1万円×313日+342万円 |
*等級についての詳細はこちら(厚生労働省ウェブサイト)をご確認ください |
④傷病補償年金/傷病年金
支給事由 | 療養開始から1年6か月経過しても傷病が治らず、傷病による障害の程度が傷病等級に該当する場合 |
給付内容 | 第1級は給付基礎日額の313日分、第2級は277日分、第3級は245日分 |
特別支給金 | 【傷病特別支給金】*一時金として 第1級は114万円、第2級は107万円、第3級は100万円 |
具体例 (日額1万円の場合) | (例)傷病等級 第1級の場合(給付+特別支給) 1万円×313日+114万円 |
⑤遺族補償給付/遺族給付
支給事由 | 【遺族(補償)年金】 業務災害または通勤災害で死亡した場合 【遺族(補償)一時金】 年金の受給資格を持つ方がいない場合など |
給付内容 | 【遺族(補償)年金】*年金額は遺族の人数により異なる 遺族1人の場合は153日分、または175日分。(遺族が1人で、55歳以上または一定の障害状態の妻の場合には、175日分) 2人の場合は201日分、3人の場合は223日分、4人以上の場合は245日分 【遺族(補償)一時金】 1,000日分。受給していた方が失権した場合は、1,000日分からすでに支給した分を差し引いた額 |
特別支給金 | 【障害特別支給金】*一時金として 遺族の数にかかわらず300万円 |
具体例 (日額1万円の場合) | (例)遺族(補償)年金で遺族が4人の場合(給付+特別支給) 1万円×245日分+300万円、または1,000万円+300万円 |
⑥葬祭料/葬祭給付
支給事由 | 葬祭を行う場合 |
給付内容 | 315,000円に給付基礎日額の30日分を加えた額 または60日分のいずれか高い方が支給される |
特別支給金 | なし |
具体例 (日額1万円の場合) | (例)給付日額30日分の場合 315,000円+1万円×30日=615,000円 |
⑦介護補償給付/介護給付
支給事由 | ③・④で一定の障害を有し、現に介護を受けている場合 |
給付内容 | 介護の費用として支出した額が支給される(上限あり) 親族等の介護を受けている場合は、最低補償額が一律に支給される |
特別支給金 | なし |
具体例 (日額1万円の場合) | 【常時介護を要する者】 最高限度額 月額 171,650円 / 最低補償額 月額 73,090円 【随時介護を要する者】 最高限度額 月額 85,780円 / 最低補償額 月額 36,500円 |
日俳連について
日俳連(にっぱいれん・協同組合日本俳優連合)には約2,600名の俳優が所属しており、実演家の地位の向上、経済的権利の確立を目指して活動しています。
日俳連ウェブサイト:https://www.nippairen.com/
団体情報
名称 | 日俳連労災(にっぱいれんろうさい) |
理事長 | 池水通洋 |
承認 | 厚生労働省 東京労働局承認 (承認日:令和3年9月1日) |
所在地 | 〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-12-30 芸能花伝舎3F 協同組合日本俳優連合内 |
メールアドレス | support@jau-rousai.com |
URL | https://jau-rousai.com/ |